双極性障害Ⅰ型とⅡ型の違いとは?症状・診断・治療法を解説
気分が極端に高揚したり、深く落ち込んだり…そんな感情の波に悩んでいませんか? もしかしたら、それは双極性障害かもしれません。双極性障害にはⅠ型とⅡ型があり、それぞれ特徴が異なります。この記事では、Ⅰ型とⅡ型の違いを症状、診断、治療法といった観点から分かりやすく解説。あなたの状態を正しく理解し、不安を軽減するための知識と、より良い生活を送るための具体的なヒントを提供します。
双極性障害Ⅰ型とⅡ型の基本的な違い
双極性障害は、気分が高揚する「躁状態」または「軽躁状態」を中心とし、うつ状態を伴うことが多い精神疾患です。この病気は、症状の現れ方によって大きく「双極性障害Ⅰ型」と「双極性障害Ⅱ型」の二つに分類されます。どちらのタイプも感情の波に苦しむ点は共通していますが、特に「躁状態」の重症度と持続期間において明確な違いがあります。
双極性障害Ⅰ型は、日常生活に大きな支障をきたすほどの重い躁状態(本格的な躁病エピソード)を特徴とします。この躁状態は、判断力を著しく低下させ、社会的な問題を引き起こす可能性があります。入院が必要となるケースも少なくありません。
一方、双極性障害Ⅱ型は、Ⅰ型のような重い躁状態ではなく、「軽躁状態」と呼ばれる比較的軽い躁状態を特徴とします。軽躁状態では、気分の高揚や活動性の増加が見られます。しかし、日常生活や社会生活に深刻な支障をきたすほどではないため、本人や周囲が病気だと気づきにくいことがあります。Ⅱ型では、うつ状態が長く続く傾向があるとされており、うつ症状が主な困りごととなるケースが多く見られます。
この二つのタイプは、それぞれ異なる症状のパターンを持ちます。適切な診断と治療を受けるためには、その違いを正しく理解することが非常に重要です。
| 項目 | 双極性障害Ⅰ型 | 双極性障害Ⅱ型 |
| 主な特徴 | 重度の躁状態(躁病エピソード)とうつ状態を繰り返す | 軽躁状態とうつ状態を繰り返す |
| 躁状態 | 重度で、入院が必要になる場合もある。精神病症状を伴うこともある。 | 軽度で、日常生活への支障は限定的。精神病症状は伴わない。 |
| うつ状態 | 重度で、日常生活に大きな影響を与える。 | 重度で、Ⅰ型よりも期間が長く、苦痛が大きい場合が多い。 |
| 診断の難易度 | 躁状態が顕著なため比較的診断しやすい。 | 軽躁状態が見過ごされやすく、うつ病と誤診されやすい。 |
| 治療の重点 | 躁状態のコントロールと再発予防が重要。 | うつ状態の改善と再発予防が重要。 |
双極性障害Ⅰ型の特徴
双極性障害Ⅰ型は、激しい躁状態とうつ状態が繰り返される精神疾患です。特に「躁状態」が顕著に現れることが特徴で、日常生活に大きな影響を及ぼします。ここでは、Ⅰ型に特有の躁状態の症状と、その診断基準について詳しく見ていきましょう。
Ⅰ型の症状:躁状態
双極性障害Ⅰ型における躁状態は、気分が異常に高揚し、活動性が亢進する期間を指します。アメリカ精神医学会が発行する診断基準「DSM-5」では、躁状態の具体的な症状として以下の項目が挙げられています。
- 異常で持続的な高揚した気分、開放的な気分、または易怒的な気分: 気分が異常にハイになったり、自信過剰になったり、些細なことでイライラしたりします。
- 目標志向性の活動の増加、または活力の増加: エネルギッシュになり、次々と新しい計画を立てたり、複数の活動を同時にこなそうとします。
- 睡眠欲求の減少: ほとんど眠らなくても平気だと感じ、数時間睡眠でも疲れを感じません。
- 多弁またはしゃべり続けようとする圧力: 普段よりもおしゃべりになり、早口で話し続けたり、話が止まらなくなったりします。
- 観念奔逸または思考が飛躍しているという主観的な体験: 次から次へとアイデアが浮かび、思考がまとまらず、話があちこちに飛んでしまいます。
- 注意散漫: 集中力が低下し、ちょっとした刺激にも気が散ってしまいます。
- 無謀な行動: 金銭的なリスクを顧みずに散財したり、性的に無分別になったり、危険な運転をするなど、結果を考えずに行動します。
これらの症状が原則として1週間以上持続し、生活に著しい支障をきたす場合、または精神病症状を伴う、あるいは入院が必要となる場合は、重度の躁状態と判断されます。
Ⅰ型の診断基準
双極性障害Ⅰ型と診断されるためには、少なくとも1回以上の躁病エピソードを経験していることが必須となります。躁病エピソードとは、前述した躁状態の症状が1週間以上続き、社会生活や職業生活に著しい支障をきたす、または精神病症状を伴うほどの重症度がある状態を指します。
DSM-5では、大うつ病エピソードの存在はⅠ型の診断に必須ではありません。しかし、実際には多くの場合、躁病エピソードの前後または間に大うつ病エピソードを経験することが知られています。躁病エピソードが薬物や他の病気の影響ではないことも確認されます。
双極性障害Ⅱ型の特徴
双極性障害Ⅱ型は、Ⅰ型のような重度の躁状態ではなく、「軽躁状態」と「大うつ病エピソード」を繰り返すことが特徴です。特にうつ状態が長く続くことが多く、Ⅰ型よりも診断が難しいケースもあります。
Ⅱ型の症状:軽躁状態とうつ状態
双極性障害Ⅱ型では、日常生活に大きな支障をきたすほどの激しい躁状態ではなく、比較的軽度な「軽躁状態」が現れます。軽躁状態の主な症状と、Ⅱ型で多く見られる「大うつ病エピソード」の症状は以下の通りです。
- 軽躁状態 軽躁状態は、気分が高揚したり、活動的になったりする状態ですが、躁状態ほど重度ではありません。
- 気分高揚や易刺激性: 気分がいつもより明るく、自信にあふれる、または些細なことでイライラしやすくなる。
- 活動性の増加: エネルギッシュになり、仕事や趣味に没頭したり、新しい計画を次々と立てたりする。
- 睡眠欲求の減少: 睡眠時間が短くても、日中に疲労感を感じにくい。
- 多弁・思考の奔逸: おしゃべりになり、次々にアイデアが浮かぶ。
- 集中力の低下: 注意が散漫になりやすく、一つのことに集中し続けるのが難しい。 軽躁状態は、4日以上持続することが診断基準の一つです。周囲からは「元気になった」「調子が良さそう」と見られがちです。本人も「いつもの自分より調子が良い」と感じることが多いため、病的な状態と認識されにくいことがあります。
- 大うつ病エピソード 軽躁状態の後に、多くの場合、重度のうつ状態が訪れます。
- 抑うつ気分: 気分がひどく落ち込み、何事にも興味や喜びを感じられない。
- 意欲の低下・活動性の減少: 何もする気が起きず、一日中寝て過ごすこともある。
- 睡眠障害: 不眠(寝付けない、途中で目が覚める)または過眠(寝すぎる)が見られる。
- 食欲の変化: 食欲がなくなり体重が減少する、または過食になり体重が増加する。
- 疲労感・倦怠感: 体がだるく、常に疲れている。
- 集中力・思考力の低下: 物事が考えられず、決断ができない。
- 自責感・無価値感: 自分を責めたり、自分が価値のない人間だと感じたりする。
- 希死念慮: 死にたいという気持ちが頭をよぎる。 大うつ病エピソードは、これらの症状が2週間以上続くことが診断基準となります。Ⅱ型では、このうつ状態が主訴となり、精神科を受診するきっかけとなることが非常に多いです。
Ⅱ型の診断基準
双極性障害Ⅱ型と診断されるためには、以下の主要な条件を満たす必要があります。
- 軽躁病エピソードの存在: 少なくとも1回以上の軽躁病エピソードを経験していること。この軽躁病エピソードは、4日以上持続し、気分高揚、活動性増加、睡眠欲求の減少などの症状を伴います。しかし、社会生活や職業機能に著しい支障をきたすほどではない点がⅠ型の躁病エピソードと異なります。
- 大うつ病エピソードの存在: 少なくとも1回以上の大うつ病エピソードを経験していること。
- 躁病エピソードがないこと: 過去に躁病エピソード(Ⅰ型でみられるような、著しい機能障害を伴う重度の躁状態)を経験したことがないことが重要です。もし躁病エピソードがあれば、それは双極性障害Ⅰ型と診断されます。
これらの基準を満たし、症状が他の精神疾患や物質によるものではないことが確認されると、双極性障害Ⅱ型と診断されます。軽躁状態が見過ごされやすいため、診断には医師の慎重な問診と経過観察が不可欠です。
双極性障害Ⅰ型とⅡ型の比較:症状、重症度、頻度
双極性障害Ⅰ型とⅡ型は、どちらも気分変動を特徴とする精神疾患ですが、その症状の現れ方や重症度には明確な違いがあります。ここでは、両者の違いをより具体的に比較し、それぞれの特徴を深く理解していきましょう。
| 比較項目 | 双極性障害Ⅰ型 | 双極性障害Ⅱ型 |
| 躁状態 | 重度の躁状態を経験する(入院が必要になる場合もある) | 軽躁状態を経験する(社会生活への大きな支障は比較的少ない) |
| うつ状態 | 重度のうつ状態を経験する | 重度のうつ状態を経験する(Ⅰ型よりも期間が長く、重い傾向があることも) |
| 精神病症状 | 躁状態またはうつ状態中に幻覚や妄想を伴うことがある | 軽躁エピソードでは伴わないが、大うつ病エピソード中に出現することはある |
| 社会生活への影響 | 躁状態により、仕事や人間関係に深刻な問題が生じやすい | 軽躁状態では影響が少ないが、うつ状態により社会生活に大きな支障をきたしやすい |
| 診断基準 | 少なくとも1回以上の躁病エピソードがあること | 少なくとも1回以上の軽躁病エピソードと1回以上の大うつ病エピソードがあること |
| 疾患の認識 | 躁状態の深刻さから、周囲や本人が異変に気づきやすい | 軽躁状態は気分が良いと感じやすく、うつ状態の認識が主となるため、診断が遅れることがある |
この比較表からもわかるように、双極性障害Ⅰ型とⅡ型の最大の違いは「躁状態の重症度」にあります。Ⅰ型では、著しい気分の高揚や活動性の増加が見られる「躁病エピソード」を経験します。この状態が原因で社会生活に大きな支障をきたしたり、入院が必要になったりすることがあります。一方、Ⅱ型で経験するのは、Ⅰ型ほど重症ではない「軽躁病エピソード」です。軽躁状態は気分が良く、生産性が上がるように感じられるため、本人や周囲が病気だと認識しにくいケースも少なくありません。
しかし、うつ状態に関しては、どちらのタイプも重度のうつ状態を経験します。特にⅡ型では、うつ状態の期間が長く、その重症度が生活に与える影響が大きい傾向があるとも言われています。このため、Ⅱ型は「うつ病」と誤診されることも少なくありません。
エピソードの頻度については個人差が大きいものの、Ⅰ型では躁状態と抑うつ状態が急速に繰り返される「ラピッドサイクラー」という病型が見られることもあります。Ⅱ型はうつ状態が主であるため、軽躁状態を見逃さないことが早期診断の鍵となります。
このように、Ⅰ型とⅡ型では症状の質や重症度が異なるため、適切な診断と治療を受けるためには、これらの違いを理解することが非常に重要です。
双極性障害の診断プロセス
双極性障害の診断は、患者さんの症状や病歴を総合的に評価して行われます。気分変動のパターンが複雑であるため、診断には専門的な知識と経験が必要です。ここでは、診断に至るまでの主なプロセスを解説します。
1. 問診と病歴聴取
まず、医師は患者さんから症状について詳しく聞き取ります。いつからどのような気分の変化があるのか、高揚感や気分の落ち込みがどのくらいの期間続き、日常生活にどのような影響が出ているかなどを確認します。また、ご家族から客観的な情報(患者さんの普段の様子、気分の波の有無など)を伺うことも、診断の精度を高める上で非常に重要です。過去の病歴や家族歴(精神疾患の有無など)も確認されます。
2. 心理検査・精神状態の評価
問診と並行して、心理検査が行われることがあります。これは、患者さんの現在の精神状態を客観的に評価するためのものです。質問紙形式の検査や、医師との面談を通じて、思考の内容、感情の表現、行動パターンなどを詳細に観察します。これにより、躁状態、軽躁状態、うつ状態の具体的な症状や重症度を把握する手がかりとします。
3. 身体検査・血液検査
精神疾患の中には、甲状腺機能異常や脳の疾患など、身体的な問題が原因で精神症状を引き起こすケースもあります。そのため、双極性障害の診断に際しては、他の病気を鑑別するために身体検査や血液検査を行うことがあります。これにより、身体疾患が原因ではないことを確認し、正確な診断へと繋げます。
4. 鑑別診断の重要性
双極性障害の症状は、うつ病や統合失調症、パーソナリティ障害、注意欠如・多動症(ADHD)など、他の精神疾患の症状と似ている部分があります。そのため、鑑別診断が非常に重要です。特に、うつ病と誤診されるケースが多く、双極性障害であるにもかかわらず抗うつ薬のみを処方されると、かえって躁状態を悪化させてしまうリスクがあります。そのため、時間をかけて慎重に症状を評価し、適切な診断を下すことが不可欠です。
5. 専門医による診断の必要性
双極性障害は症状の多様性と複雑さから、診断が難しい病気の一つです。そのため、精神科医の中でも双極性障害の診断と治療に精通した専門医の診察を受けることが強く推奨されます。正確な診断があって初めて、適切な治療計画を立て、病気と向き合っていくことができるのです。もし、ご自身の気分の波に悩んでいる場合は、早めに精神科を受診し、専門医に相談しましょう。
双極性障害の治療法
双極性障害の治療は、症状の安定と再発予防を目的として行われます。主に「薬物療法」「精神療法」「生活療法・セルフケア」の3つの柱から構成され、それぞれの治療法が連携し、症状の波をコントロールするために重要です。
薬物療法
双極性障害の治療において、薬物療法は症状を安定させ、再発を防ぐために不可欠です。主に以下の種類の薬が用いられます。
- 気分安定薬
- 炭酸リチウム: 双極性障害の治療に古くから用いられる主要な薬で、躁状態とうつ状態の両方に効果を発揮します。再発予防効果も高く評価されています。
- バルプロ酸ナトリウム: 気分安定作用があり、躁状態や混合状態の治療に用いられます。抗てんかん薬としても知られています。
- ラモトリギン: うつ状態の改善と再発予防に効果があるとされています。特に双極性障害Ⅱ型のうつ状態に有効な場合があります。
- 非定型抗精神病薬 躁状態や精神病症状を伴う場合に用いられることが多く、気分安定作用も持ち合わせている薬もあります。
- 抗うつ薬 双極性障害のうつ状態に対しては、単独で使用すると躁転(うつ状態から躁状態に転じること)のリスクがあるため、通常は気分安定薬と併用して慎重に用いられます。
これらの薬は、脳内の神経伝達物質のバランスを調整することで、気分の波を穏やかにする役割を果たします。副作用や効果には個人差があるため、医師と相談しながら最適な薬の種類や量を調整することが重要です。自己判断で服用を中止することは、症状の悪化や再発につながるため絶対に避けてください。
精神療法
薬物療法と並行して行われる精神療法は、症状の管理や再発予防、日常生活への適応を助ける重要な役割を担います。双極性障害に効果的とされる主な精神療法は以下の通りです。
- 認知行動療法(CBT) 気分変動と関連する思考パターンや行動を特定し、より適応的なものに変えていくことを目指します。うつ状態の改善や、躁状態につながる思考の修正に役立ちます。
- 対人関係・社会リズム療法(IPSRT) 生活リズムの乱れが気分の波に影響することに着目し、規則正しい生活リズムの確立と対人関係の問題解決をサポートします。これにより、気分の安定と再発予防を目指します。
- 家族心理教育 患者本人だけでなく、家族も一緒に病気について学び、適切な対応やサポート方法を身につけるための治療です。家族が病気を理解することで、患者の回復を支援し、家庭内のストレスを軽減することにつながります。
これらの精神療法を通じて、患者は自身の病気に対する理解を深め、症状に効果的に対処するためのスキルを習得し、より安定した生活を送ることを目指します。
生活療法・セルフケア
薬物療法や精神療法に加え、日常生活での工夫やセルフケアも双極性障害の安定には不可欠です。以下のような実践が推奨されます。
- 規則正しい生活リズムの確立 睡眠覚醒リズムの乱れは気分の波を引き起こしやすいため、毎日決まった時間に寝起きし、規則正しい食事を心がけることが大切です。
- ストレス管理 ストレスは症状を悪化させる引き金となることがあります。ストレスの原因を特定し、リラクゼーション法(深呼吸、瞑想など)や気分転換の方法を見つけることが重要です。
- 十分な睡眠 睡眠不足は躁状態を誘発しやすいため、質の良い睡眠を十分にとることが大切です。
- バランスの取れた食事 栄養バランスの取れた食事は、心身の健康維持に欠かせません。特定の食品が直接症状に影響するという科学的根拠は少ないですが、健康的な食生活は全体的な安定に寄与します。
- 適度な運動 ウォーキングや軽いジョギングなど、無理のない範囲での運動はストレス軽減や気分の安定に効果があることが知られています。
- セルフモニタリング 日々の気分の変動、睡眠時間、活動レベルなどを記録することで、自身の状態の変化にいち早く気づき、早期に対処することができます。これにより、症状の悪化を防ぎ、再発予防にもつながります。
これらの生活療法やセルフケアを継続することで、自身の病状をコントロールし、より安定した日常生活を送ることが可能になります。
日常生活での工夫とサポート
双極性障害を抱えながらも安定した日常生活を送るためには、患者さん自身のセルフケアはもちろん、周囲の理解とサポートが不可欠です。ここでは、家族や周囲の人ができること、そして専門機関からの支援について具体的にご紹介します。
家族や周囲ができること
双極性障害は、患者さん自身の努力だけではコントロールが難しい病気です。家族や周囲の人が病気について正しく理解し、適切なサポートを行うことが、患者さんの安定した生活を支える上で非常に重要です。
- 病気への理解を深める: 双極性障害が、患者さんの性格や怠慢からくるものではなく、脳の働きや神経伝達のバランスの乱れが関係すると考えられている病気であることを理解することが大切です。
- 躁状態やうつ状態の症状について学び、患者さんの言動が病気の影響であることを認識しましょう。
- 感情の波に寄り添う: 気分が高揚している時も、落ち込んでいる時も、患者さんの感情に寄り添い、話を聞く姿勢が大切です。ただし、躁状態の時に過剰な行動を止めようと強く説得したり、うつ状態の時に無理に励ましたりすることは、かえって患者さんを追い詰める可能性があります。専門医の指示に従い、適切な距離感でサポートしましょう。
- 無理のない範囲でサポートする: 患者さんの生活リズムを整える手助けや、服薬の確認など、具体的なサポートは必要ですが、すべてを抱え込まず、家族自身の心身の健康も大切にしてください。サポートする側が疲弊してしまうと、長期的な支援は困難になります。
- 患者を責めない: 病気の症状によって、衝動的な行動や言動が見られることがありますが、それを患者さんの人格と結びつけて責めることは避けましょう。病気と患者さん自身を切り離して考えることが大切です。
- 早期発見の兆候に注意する: 気分の波が激しくなったり、睡眠パターンに変化が見られたりするなど、再発の兆候にいち早く気づき、専門医への受診を促すことも大切な役割です。
専門機関・相談窓口の紹介
双極性障害は専門的な治療と継続的なサポートが必要な病気です。困った時には、一人で抱え込まず、以下のような専門機関や相談窓口に積極的に頼りましょう。
- 精神科・心療内科: まずは専門医の診断と治療が最も重要です。主治医との信頼関係を築き、定期的な受診を続けましょう。
- 精神保健福祉センター: 各都道府県・指定都市に設置されており、精神疾患に関する相談や情報提供、社会復帰支援などを行っています。家族からの相談も可能です。
- 地域活動支援センター: 地域で生活する精神障がい者のための活動拠点です。交流の場や創作的活動の機会を提供し、地域生活を支援します。
- 自助グループ: 同じ病気を持つ人たちが集まり、経験を共有し、支え合う場です。共感や安心感を得られ、病気との向き合い方を学ぶことができます。
- カウンセリング機関: 精神科医とは異なり、薬物療法は行いませんが、心理的なサポートや具体的な対処法について相談できます。主治医と連携して利用することも有効です。
これらの機関を上手に活用することで、患者さん自身だけでなく、家族も安心して生活を送るためのサポートを得ることができます。
まとめ:正しい知識で、より良い生活を
この記事では、双極性障害のⅠ型とⅡ型の違いについて、その症状、診断基準、そして治療法に至るまで詳しく解説してきました。Ⅰ型は顕著な躁状態と抑うつ状態を特徴とし、Ⅱ型は軽躁状態と重いうつ状態が主体となることが、それぞれのタイプを理解する上で重要なポイントです。
双極性障害は、気分が大きく変動する病気であり、ご自身や大切な人の言動に不安を感じることもあるかもしれません。しかし、最も大切なのは、この病気について正しい知識を持つことです。正確な情報を得ることで、漠然とした不安は和らぎ、適切な対処法を見つけるための第一歩を踏み出せるようになります。
もし、ご自身や周囲の方に双極性障害の可能性があると感じた場合は、一人で抱え込まず、心療内科や精神科などの専門医に相談することが非常に重要です。早期に診断を受け、適切な治療を開始することで、感情の波をコントロールし、より安定した日常生活を送ることが可能になります。
双極性障害は、適切な治療とセルフケア、そして周囲のサポートがあれば、十分に管理できる病気です。この情報が、皆さんがより良い生活を送るための一助となれば幸いです。
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