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高次脳機能障害とは?症状、原因をわかりやすく解説

2024.11.06

 日常生活で困る記憶力や注意力の低下、判断力の誤り。これらの症状は、脳の損傷によって起こる「高次脳機能障害」の可能性があります。この記事では、高次脳機能障害とは何か、その原因や症状、治療法について詳しく解説します。日常生活への影響やサポートについても触れ、理解を深め、適切な対応へと繋げます。

高次脳機能障害とは?

高次脳機能障害とは、脳の損傷によって、記憶力、注意力、思考力、判断力、遂行機能など、高度な精神活動に障害をきたす状態のことを指します。日常生活を送る上で重要な役割を担うこれらの機能が損なわれることで、様々な困難が生じることがあります。例えば、記憶力の低下により、約束や予定を忘れてしまう、注意力の低下により、集中して作業を行うのが難しくなる、判断力の誤りにより、適切な行動ができなくなるなどが挙げられます。

高次脳機能障害は、交通事故や脳卒中などによる外傷だけでなく、脳腫瘍や感染症などによっても起こることがあります。また、加齢に伴い、脳の機能が衰えていくことによっても、高次脳機能障害の症状が現れることがあります。近年、高齢化社会の進展に伴い、高次脳機能障害の患者数は増加傾向にあります。

高次脳機能障害は、一見、身体的な障害と捉えられにくい場合がありますが、日常生活に大きな支障をきたす可能性があり、適切な理解とサポートが必要となります。

高次脳機能障害の症状

高次脳機能障害の症状は、脳の損傷部位や程度によって異なりますが、大きく分けて認知機能障害、遂行機能障害、感情・行動障害、コミュニケーション障害の4つに分類されます。

認知機能障害

認知機能障害は、記憶、注意力、思考、判断などの認知能力に障害が生じた状態です。具体的な症状としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 記憶障害:新しい情報や出来事を覚えにくくなる、過去の出来事を思い出せなくなるなど
  • 注意力障害:集中力が低下し、周囲の雑音に気を取られやすくなる、作業中にミスが増えるなど
  • 思考障害:物事を理解したり、考えたりすることが難しくなる、論理的な思考が困難になるなど
  • 判断力障害:状況判断が難しくなり、適切な行動をとることが困難になるなど

遂行機能障害

遂行機能とは、目標を達成するために必要な計画を立てたり、行動を調整したりする能力のことです。遂行機能障害は、これらの能力が損なわれた状態であり、具体的な症状としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 計画性・遂行能力の低下:作業を始めるのが難しい、手順を覚えられない、複数の作業を同時に行うのが難しいなど
  • 柔軟性の欠如:状況の変化に対応できず、融通が利かないなど
  • 問題解決能力の低下:問題に直面した際に、解決策を思いつきにくいなど

感情・行動障害

感情・行動障害は、感情の抑揚が乏しくなったり、衝動的な行動をしたりするなど、感情や行動に変化が見られる状態です。具体的な症状としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 抑うつ状態:気分が落ち込み、やる気が出ない、何もする気がしないなど
  • 易怒性:些細なことで怒りっぽくなる、感情の制御が難しいなど
  • 無関心:周囲のことに無関心になり、以前のように人と関わることを避けるなど

コミュニケーション障害

コミュニケーション障害は、言葉の理解や発話、コミュニケーション能力に障害が生じた状態です。具体的な症状としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 言語理解障害:相手の言っていることが理解しにくい、会話についていけなくなるなど
  • 発話障害:言葉が出てこない、言葉がうまく話せない、話し方がぎこちなくなるなど
  • コミュニケーション能力の低下:相手の気持ちを理解するのが難しい、自分の気持ちをうまく伝えられないなど

高次脳機能障害の症状は、人によって異なります。また、同じ症状であっても、その程度が異なることがあります。そのため、専門医による適切な診断と治療が重要です。

高次脳機能障害の原因

高次脳機能障害は、脳の損傷によって生じます。脳の損傷の原因は、大きく分けて、外傷性脳損傷、脳血管障害、腫瘍、感染症、代謝性疾患、遺伝性疾患などがあります。

外傷性脳損傷

外傷性脳損傷は、交通事故、転倒、スポーツなどによって頭を強く打った際に起こる脳の損傷です。脳挫傷、脳出血、脳挫裂傷などが代表的な例です。交通事故による頭部外傷は、高次脳機能障害の主な原因の一つです。

脳血管障害

脳血管障害は、脳の血管が詰まったり破れたりすることによって起こる脳の損傷です。脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などが代表的な例です。脳梗塞は、脳の血管が詰まることで起こり、脳細胞が酸素不足に陥ることで損傷します。脳出血は、脳の血管が破れて出血することで起こり、周囲の脳組織を圧迫することで損傷します。くも膜下出血は、脳の表面を覆うくも膜の血管が破れることで起こり、出血が脳組織を圧迫したり、脳に障害を引き起こしたりします。

腫瘍

腫瘍は、脳にできた腫瘍が脳組織を圧迫したり、脳の機能を阻害したりすることで起こる脳の損傷です。脳腫瘍は、良性と悪性があります。良性腫瘍は、一般的にゆっくりと成長し、転移することも稀です。悪性腫瘍は、急速に成長し、転移することもあります。

感染症

感染症は、脳にウイルスや細菌が感染することで起こる脳の損傷です。髄膜炎、脳炎などが代表的な例です。髄膜炎は、脳と脊髄を覆う髄膜に炎症が起こる病気です。脳炎は、脳組織に炎症が起こる病気です。

代謝性疾患

代謝性疾患は、糖尿病、高血圧、高脂血症などの代謝異常が原因で起こる脳の損傷です。これらの疾患は、脳血管の病気のリスクを高め、脳梗塞や脳出血を引き起こす可能性があります。

遺伝性疾患

遺伝性疾患は、遺伝子の異常によって起こる脳の損傷です。遺伝性疾患は、出生時から存在する脳の異常や、成長に伴い発症する脳の異常など、様々な形で高次脳機能障害の原因となることがあります。

高次脳機能障害の原因は様々であり、その原因によって症状や治療法が異なります。そのため、専門医による適切な診断が重要です。

高次脳機能障害の治療法

高次脳機能障害の治療法は、障害の種類や程度、原因によって異なります。しかし、一般的には、薬物療法、リハビリテーション、精神療法などが行われます。

薬物療法

薬物療法は、高次脳機能障害の症状を改善するために用いられます。例えば、注意力や集中力を改善する薬、不安や抑うつを改善する薬などが処方されます。

リハビリテーション

リハビリテーションは、高次脳機能障害による身体機能や精神機能の障害を回復させるための訓練です。認知機能訓練、言語訓練、運動訓練、日常生活動作訓練などが行われます。

精神療法

精神療法は、高次脳機能障害によって生じた精神的な問題を解決するために用いられます。認知行動療法、精神療法などが行われます。

高次脳機能障害の治療は、長期にわたる場合もあります。しかし、適切な治療を行うことで、症状が改善し、日常生活を送ることが可能になるケースも多くあります。

高次脳機能障害の治療は、専門医と相談し、自分に合った方法を選択することが重要です。

高次脳機能障害の診断

高次脳機能障害の診断は、医師による問診、検査、観察などを通じて行われます。特に、脳の画像検査(MRIやCT)は、脳の損傷の有無や程度を調べる上で重要です。また、神経心理学的検査は、記憶力、注意力、思考力、言語機能などの高次脳機能の状態を評価するために用いられます。さらに、日常生活における困りごとや家族からの情報を得ることで、具体的な症状や障害の程度を把握することが重要です。

高次脳機能障害は、様々な症状が複雑に組み合わさって現れるため、診断には時間と労力を要することがあります。医師は、患者さんの症状や状況を総合的に判断し、適切な診断を行うように努めます。

高次脳機能障害の診断は、治療法の選択や日常生活の支援を行う上で不可欠です。もし、高次脳機能障害が疑われる場合は、専門医に相談することが重要です。

高次脳機能障害の日常生活への影響とサポート

高次脳機能障害は、日常生活に様々な影響を及ぼす可能性があります。具体的には、記憶力や注意力、計画性、遂行能力などが低下することで、仕事や家事、学習、対人関係など、様々な場面で困難に直面することがあります。例えば、仕事中に集中しづらくなったり、約束を忘れやすくなったり、新しいことを覚えるのが難しくなったりするといったことが挙げられます。

そのため、高次脳機能障害を持つ人々には、日常生活を支援するサポートが必要です。サポートの内容は、障害の程度や種類、生活環境によって異なりますが、主なものとして、以下のようなものが挙げられます。

  • 家族や友人によるサポート: 日常生活における具体的な支援、精神的な支え、情報収集のサポートなど。
  • 専門機関によるサポート: 脳神経外科、リハビリテーション科、精神科などの専門医療機関による治療やリハビリテーション、相談支援、介護サービスなどの利用。
  • 地域社会によるサポート: 障害者福祉サービス、就労支援、ボランティア活動など、地域社会が提供する各種サポートの利用。

高次脳機能障害は、本人だけでなく、家族や周囲の人々にも大きな影響を及ぼします。しかし、適切なサポートがあれば、日常生活の質を向上させ、社会参加を促進することができます。高次脳機能障害を持つ人々が、自分らしく生活を送れるよう、周囲の人々の理解と支援が不可欠です。

まとめ

高次脳機能障害は、脳の損傷によって起こる記憶力、注意力、思考力、判断力などの高度な精神活動に障害をきたす状態です。交通事故や脳卒中など、様々な原因により発症し、日常生活に大きな影響を及ぼす可能性があります。症状には、記憶障害、注意力障害、思考障害、判断力障害、遂行機能障害、感情・行動障害、コミュニケーション障害などがありますが、人によって異なります。治療法としては、薬物療法、リハビリテーション、精神療法などが行われます。高次脳機能障害は、適切な診断と治療、そして周囲の理解とサポートによって、日常生活の質を向上させることが可能です。

この記事の監修

じんぼこころのクリニック院長 神保慎先生

神保 慎

2007年 国立長崎大学医学部医学科卒業
初期臨床研修終了後、九州大学病院精神科神経科教室へ入局。
九州大学病院、福岡県立精神医療センター太宰府病院、九州医療センター、別府医療センター他、にて勤務。
2019年3月 じんぼこころのクリニック開業

資格、その他
厚生労働省認定精神保健指定医
コンサータ登録医師
モディオダール登録医師

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