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てんかん発作の種類と症状

2025.01.02

てんかんは、脳の電気的な異常活動によって起こる発作を繰り返す病気です。発作の種類は様々で、症状も人によって異なります。この記事では、てんかん発作の種類と症状、原因、治療法、そして日常生活への影響について、専門用語を避け、分かりやすく解説します。患者さんやご家族が理解し、安心して日常生活を送れるよう、役立つ情報を提供します。

てんかん発作の種類

てんかんの発作は、その症状や脳波の特徴から様々な種類に分類されます。大きく分けると、部分発作全般発作の2種類があります。さらに、部分発作は、意識障害の有無によって単純部分発作複雑部分発作に分類されます。一方、全般発作には、強直間代発作欠神発作ミオクロニー発作無動発作などがあります。それぞれの発作の特徴を理解することで、適切な治療や対応に繋がります。以下では、代表的な発作の種類について詳しく説明します。

部分発作

部分発作は、脳の一部分の異常活動から始まる発作です。意識障害を伴わない単純部分発作と、意識障害を伴う複雑部分発作があります。

全般発作

全般発作は、脳全体が異常活動に陥る発作です。代表的なものとして、強直間代発作(大発作)、欠神発作(小発作)、ミオクロニー発作、無動発作などがあります。それぞれ症状が異なるため、正確な診断が必要です。

このように、てんかん発作は種類が豊富で、症状も多様性に富んでいます。正確な診断には、専門医による診察と脳波検査が不可欠です。患者さんやご家族は、発作の種類や特徴を理解することで、適切な治療や日常生活の工夫に繋げることができ、より安心して生活を送ることが可能になります。専門医の指導のもと、適切な治療と生活習慣の改善に取り組むことが重要です。

各発作の種類による症状

前章ではてんかん発作の種類について解説しましたが、ここではそれぞれの発作の種類による具体的な症状について詳しく見ていきましょう。症状は発作の種類によって大きく異なり、また、同じ種類の発作でも個人差があります。正確な診断には、専門医による診察と脳波検査が不可欠です。

部分発作

単純部分発作

単純部分発作は、意識は保ったまま、体の特定の部分に異常な感覚や運動が起こる発作です。具体的な症状としては、体の震え、ピクつき、感覚異常(チクチク感、痺れなど)、異常なにおいを感じることなどがあります。発作は数秒から数分間続き、その後は通常の状態に戻ります。本人は発作中に何が起こっているのか自覚している場合が多いです。

複雑部分発作

複雑部分発作は、意識障害を伴う部分発作です。具体的な症状は、単純部分発作と同様に体の特定の部分に異常な感覚や運動が起こる場合がありますが、それに加え、意識が混濁したり、周囲の状況が理解できなくなったり、目的のない行動(自動症)を起こすことがあります。例えば、ぼーっとしたり、意味のない言葉を繰り返したり、物をいじったりすることがあります。発作の持続時間は数秒から数十分と様々です。発作後は、しばらくの間、記憶が曖昧な状態が続くこともあります。

全般発作

強直間代発作

強直間代発作、いわゆる大発作は、全身の筋肉が強直し、その後、間代的にけいれんが起こる発作です。まず、全身の筋肉が硬直して体が伸びきった状態になり、その後、手足が激しくけいれんします。意識を失い、呼吸困難や尿失禁を伴うこともあります。発作時間は数秒から数分間続き、その後、深い眠りに入るのが一般的です。発作後は、激しい疲労感や頭痛、筋肉痛などを訴えることがあります。

欠神発作

欠神発作、いわゆる小発作は、数秒間意識を失う発作です。意識を失っている間は、周囲の状況を全く認識できず、じっと立っていたり、座っていたりします。発作は短時間で終わることが多く、本人は発作に気づいていない場合も多いです。周囲の人は、突然ぼーっとしたり、目を閉じたりすることに気づきます。発作後、すぐに元の状態に戻ります。

ミオクロニー発作

ミオクロニー発作は、体の特定の部分、もしくは全身の筋肉が短時間にぴくぴくとけいれんする発作です。意識を失うことは少ないですが、複数のミオクロニー発作が続くと、意識が混濁したり、倒れたりする可能性もあります。発作の持続時間は短く、数秒間で終わります。

無動発作

無動発作は、意識を失ったまま、体が動かなくなる発作です。周りの人に話しかけても反応がなく、まるで意識がないように見えます。しかし、脳波検査では異常な活動が見られます。発作時間は数秒から数分間続き、その後、意識が回復します。発作後、記憶が曖昧な状態が続くこともあります。

このように、てんかん発作の症状は多岐に渡ります。ご自身の症状やご家族の症状について心配な点があれば、専門医に相談することが重要です。早期診断と適切な治療によって、発作の頻度を減らし、より良い生活を送ることが可能になります。専門医の指示に従い、適切な治療と生活習慣の改善に取り組むことが、より快適な生活を送るための鍵となります。

てんかん発作の原因

てんかん発作の原因は多岐に渡り、未だ解明されていない部分も多いのが現状です。しかし、いくつかの要因が関連していると考えられています。大きく分けると、遺伝的要因、脳の器質的異常、後天的な要因の3つに分類できます。

遺伝的要因

遺伝子異常が原因で発症するケースがあります。特定の遺伝子の変異が、脳の電気的活動に異常をもたらし、発作を引き起こすと考えられています。家族歴のある方は、発症リスクが高いと言えるでしょう。遺伝子検査により、発症リスクの評価を行うことも可能です。

脳の器質的異常

脳の構造や機能に異常がある場合も、てんかん発作の発症リスクが高まります。脳腫瘍、脳血管障害、脳炎、外傷など、脳に損傷を与える様々な要因が、てんかん発作を引き起こす可能性があります。脳のMRI検査やCT検査などによって、器質的異常の有無を調べることができます。

後天的な要因

後天的な要因としては、脳への酸素不足、高熱、感染症、薬物中毒などが挙げられます。これらの要因によって、脳の電気的活動が乱れ、てんかん発作が起こることがあります。例えば、新生児期の低酸素脳症や、発熱による熱性けいれんは、てんかん発作の発症リスクを高めることが知られています。その他、ストレスや睡眠不足なども、発作の誘因となる可能性があります。

上記以外にも、原因不明のてんかんも存在します。様々な検査を行っても、原因が特定できないケースがあり、これは特発性てんかんと呼ばれます。原因が特定できないからこそ、専門医による適切な治療と経過観察が重要になります。原因の特定は治療法の選択にも大きく関与しますので、専門医との綿密な連携が不可欠です。治療法の選択は、発作の種類や頻度、患者の年齢や生活状況などを総合的に考慮して決定されます。早期発見と適切な治療によって、発作の頻度を減らし、より良い生活を送ることが期待できます。

てんかんの治療法

てんかんの治療においては、薬物療法が中心となります。発作の種類や頻度、患者の年齢や身体状況などを考慮し、最適な薬剤を選択することが重要です。多くの場合、抗てんかん薬が処方されます。これらの薬剤は、脳の電気活動を安定させることで、発作の発生を抑制する効果が期待できます。

薬物療法

抗てんかん薬は様々な種類があり、それぞれに有効なてんかんの種類や副作用が異なります。医師は、患者の状態を丁寧に診察し、最適な薬剤を選び、投与量や投与方法を決定します。治療開始後は、定期的な血液検査や脳波検査を行い、薬の効果や副作用をモニタリングします。必要に応じて、薬剤の種類や量を調整していきます。治療には忍耐が必要で、効果が現れるまでには時間がかかる場合もあります。また、薬の副作用に注意し、医師と相談しながら治療を進めていくことが大切です。治療を途中でやめてしまうと、発作が再発する可能性が高いため、医師の指示に従って継続することが重要です。

外科手術

薬物療法で効果が得られない場合や、特定の脳の部位からの発作が原因と特定できる場合、外科手術が検討されることがあります。手術では、発作の原因となる脳の部位を切除したり、刺激したりすることで、発作を抑えることができます。手術は侵襲的な治療法であるため、慎重な検討が必要です。手術を行うかどうかは、患者の状態や発作の種類、リスクとベネフィットを総合的に評価して、医師とよく相談して決定する必要があります。

生活習慣の改善

薬物療法や外科手術以外にも、生活習慣の改善も重要です。十分な睡眠時間を取り、規則正しい生活を送ることで、発作の誘因となるストレスや睡眠不足を軽減することができます。また、アルコールやカフェインなどの刺激物を控えることも大切です。過度な飲酒や睡眠不足は、発作を誘発する可能性を高めるため注意が必要です。さらに、バランスの良い食事を心がけ、健康的な生活を維持することも重要です。健康的な生活習慣は、てんかんの治療だけでなく、全体的な健康状態の改善にもつながります。

その他の治療法

近年では、薬物療法や外科手術以外にも、神経刺激療法や食事療法なども検討されています。神経刺激療法は、脳に電極を埋め込み、電気刺激を与えることで発作を抑える治療法です。食事療法は、ケトン体を増加させることで、発作を抑制する効果が期待できる場合があります。これらの治療法は、全ての人に適用できるわけではありませんが、薬物療法や外科手術が効果を示さない場合に、選択肢として検討されることがあります。治療法の選択は、個々の患者の状態によって異なり、医師とよく相談して決定する必要があります。最適な治療法を選択し、継続することで、より良い生活の質を維持することが期待できます。

てんかんの治療は、患者と医師が協力して行う長期的な取り組みです。定期的な通院を行い、医師の指示に従って治療を継続することが、発作の抑制と生活の質の向上に繋がります。専門医との継続的な連携を密にすることで、安心して日常生活を送ることができるようにサポートしていきます。

日常生活への影響と注意点

てんかんは、日常生活に様々な影響を与える可能性があります。発作の種類や頻度、患者の個性などによって影響の度合いは異なりますが、理解しておくことが大切です。

仕事や学業への影響

発作の頻度や症状によっては、仕事や学業に支障をきたす可能性があります。集中力の低下や記憶障害、身体の不自由さなどが、業務遂行や学業の進捗に影響を与える場合があります。しかし、適切な治療と周囲の理解があれば、多くのてんかん患者は仕事や学業を継続することができます。職場や学校に状況を説明し、配慮を得ることも重要です。

社会生活への影響

社会生活においても、発作の不安や周囲の偏見、誤解などから、人付き合いなどに影響を受けることがあります。しかし、適切な治療と自己管理、周囲の理解があれば、社会生活を円滑に送ることが可能です。信頼できる友人や家族、医療関係者との良好なコミュニケーションを築くことが重要です。また、必要に応じて、社会福祉サービスなどを活用することも検討できます。

運転や危険作業への制限

てんかんの患者さんの中には、運転免許の取得や更新に制限がかかる場合があります。これは、発作によって交通事故などの危険性が高まるためです。また、高所作業や機械操作など、発作によって危険が生じる可能性のある作業にも制限がかかる場合があります。医師の指示に従い、安全に配慮することが重要です。安全な運転や作業を行うためには、定期的な検査や医師の診察を受ける必要があります。

日常生活における注意点

日常生活においては、発作を起こしやすい状況を避けることが大切です。例えば、睡眠不足や過労、ストレス、アルコール摂取などは発作を誘発する可能性があります。規則正しい生活を送り、十分な睡眠時間を確保し、ストレスを軽減する工夫をすることが重要です。また、危険な場所や状況を避け、万が一発作が起こった場合に備えて、周囲に状況を説明しておくことも大切です。緊急時の対応マニュアルを作成し、家族や友人、同僚に周知徹底することも有効です。

周囲の理解とサポート

てんかん患者にとって、周囲の理解とサポートは非常に重要です。患者本人はもちろん、家族や友人、職場や学校関係者など、周囲の人々がてんかんについて正しく理解し、適切な対応をすることで、患者は安心して日常生活を送ることができます。誤解や偏見をなくし、共感と配慮を持って接することが、患者の社会参加や生活の質の向上に大きく貢献します。適切な知識を持つことで、より良いサポートを提供することが可能になります。

日常生活への影響は、てんかんのタイプや重症度、治療効果などによって大きく異なります。しかし、適切な治療、自己管理、周囲の理解とサポートがあれば、多くのてんかん患者は充実した日々を送ることが可能です。専門医のアドバイスを受けながら、自分自身にあった生活スタイルを確立し、安心して暮らせるように努めることが大切です。継続的な治療と周囲の協力を得ながら、社会参加や生活の質を高めていきましょう。

発作を抑制するための対策

てんかんの発作を抑制するためには、多角的なアプローチが重要です。根本的な治療はもちろんのこと、日々の生活習慣の見直しや、発作誘発因子への注意も必要不可欠です。

薬物療法

多くの場合、抗てんかん薬による治療が中心となります。医師の指示に従い、正しく服用することが大切です。薬の服用方法や副作用について、医師や薬剤師から丁寧に説明を受けるようにしましょう。自己判断で薬を止めたり、増減したりしないように注意が必要です。効果的な薬物療法によって、発作の頻度を大幅に減らすことができるケースが多くあります。

生活習慣の改善

規則正しい生活を送ることは、発作抑制に繋がります。十分な睡眠時間を取り、過労や睡眠不足を避けるようにしましょう。また、バランスの良い食事を心がけ、適度な運動を習慣に取り入れることも重要です。ストレスは発作を誘発する可能性があるため、ストレスを軽減するための方法を見つけることも大切です。リラックスできる趣味や、ストレス解消法を見つけることをお勧めします。心身ともに健康な状態を保つことが、発作抑制に繋がるのです。

発作誘発因子の特定と回避

発作は、特定の状況や要因によって誘発される場合があります。例えば、不規則な生活、過度の飲酒、睡眠不足、強いストレス、特定の食べ物などが挙げられます。日誌などを活用して、発作が起こる前の状況を記録し、発作誘発因子を特定することが重要です。誘発因子を特定することで、それらを回避し、発作の発生頻度を減らすことができるでしょう。医師と連携しながら、個々の状況に合わせた対策を講じることが重要です。

手術療法

薬物療法が効果がない場合や、手術が適応と判断された場合は、手術療法が選択肢となります。手術によって、発作の原因となっている脳の部位を切除したり、刺激したりすることで、発作を抑制する効果が期待できます。手術療法は、高度な医療技術を要する治療法であるため、十分な検討と準備が必要です。担当医と綿密な相談の上、治療方針を決めることが大切です。

デバイス療法

近年では、脳に埋め込むデバイスを用いた治療法も注目されています。このデバイスは、脳波を監視し、発作が起きそうになると事前に検知して刺激を与えることで、発作を予防する効果が期待できます。薬物療法だけでは効果が不十分な場合に有効な治療法の一つです。この治療法は、高度な医療技術を要するため、専門医療機関での治療が必要となります。

その他

発作を抑制するための対策として、定期的な医師の診察を受けることはもちろん、家族や友人、職場など周囲の理解と協力も不可欠です。発作が起きた時の対応について、周囲に説明し、理解を得ることで、より安全で安心して生活できる環境を作ることができます。万が一、発作が起きた場合に備え、緊急時の対応マニュアルを作成しておくと安心です。

これらの対策を組み合わせることで、発作の頻度を減らし、より快適な生活を送ることが可能になります。医師や医療チームと緊密に連携を取りながら、個々の状況に最適な対策を選び、継続的な努力を行うことが、てんかんと上手に付き合っていくための鍵となります。適切な治療とサポートによって、患者さんは社会参加や生活の質を向上させ、より充実した日々を送ることができるのです。

まとめ

てんかんは脳の電気的異常活動による発作を繰り返す病気で、発作の種類は部分発作と全般発作に大別されます。部分発作は意識障害の有無で単純部分発作と複雑部分発作に、全般発作は強直間代発作、欠神発作、ミオクロニー発作、無動発作などに分類され、それぞれ症状が異なります。原因は遺伝的要因、脳の器質的異常、後天的な要因などが考えられます。治療は薬物療法が中心で、抗てんかん薬が用いられます。効果不十分な場合は外科手術などが検討されます。日常生活では、発作誘発因子(睡眠不足、ストレスなど)を避け、規則正しい生活を心がけることが大切です。仕事や社会生活への影響も考慮し、周囲の理解とサポートが重要になります。

この記事の監修

じんぼこころのクリニック院長 神保慎先生

神保 慎

2007年 国立長崎大学医学部医学科卒業
初期臨床研修終了後、九州大学病院精神科神経科教室へ入局。
九州大学病院、福岡県立精神医療センター太宰府病院、九州医療センター、別府医療センター他、にて勤務。
2019年3月 じんぼこころのクリニック開業

資格、その他
厚生労働省認定精神保健指定医
コンサータ登録医師
モディオダール登録医師

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