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訪問看護指示書のすべて:様式、記載例、交付されない時の対応策

公開日:2025.12.09

訪問看護の現場で欠かせない「訪問看護指示書」。

「指示書って何?」「どうやって書くの?」「交付されない場合はどうすれば…?」

この記事では、訪問看護指示書の基礎知識から、記載方法、交付の流れ、精神科訪問看護の注意点まで、訪問看護に関わるすべての人へ分かりやすく解説します。この記事を読めば、指示書に関するあなたの疑問が解決し、患者さんへのより質の高いケア提供に繋がるでしょう。

1. 訪問看護指示書の様式と種類

訪問看護指示書には、患者さんの状態や必要なケアの緊急性、疾患の種類に応じて複数の様式が存在します。これらを適切に使い分けることで、質の高い訪問看護サービスが提供されます。ここでは、主な訪問看護指示書の様式とその特徴について解説します。

1.1 通常の訪問看護指示書

通常の訪問看護指示書は、一般的な訪問看護サービスを提供するために医師が発行する最も基本的な指示書です。患者さんの病状が安定しており、継続的な医療管理や日常生活の支援が必要な場合に利用されます。医療保険または介護保険のいずれか、または両方の適用となるケースがあり、それぞれの保険制度に則った書式が用いられます。この指示書に基づいて、訪問看護師は計画的なケアを提供します。

1.2 特別訪問看護指示書

特別訪問看護指示書は、患者さんの病状が急激に悪化した場合や、特別な管理・処置が一時的に必要となった際に発行される指示書です。通常の訪問看護指示書とは別に扱われます。例えば、がん末期で疼痛コントロールが困難になった場合や、急性増悪による一時的な点滴管理が必要になった場合などが該当します。この指示書は、通常の訪問看護では対応しきれない緊急性の高いケアを集中的に提供することを目的としており、医療保険が適用されます。有効期間は通常14日間と短く、集中的なケアが終われば通常の訪問看護指示書に戻ります。

1.3 精神科訪問看護指示書

精神科訪問看護指示書は、統合失調症やうつ病などの精神疾患を持つ患者さんに対して、精神科医が発行する専門的な指示書です。精神疾患の特性に配慮したケアが求められるため、通常の訪問看護指示書とは異なる様式が用いられます。この指示書には、精神症状の観察項目、服薬管理、日常生活への助言、社会参加の支援など、精神科に特化した具体的なケア内容が記載されます。患者さんの精神状態は日々変化するため、医師や他の医療・福祉関係者との密な連携が特に重要となります。

2. 訪問看護指示書の記載事項

訪問看護指示書は、患者さんへの適切なケア提供のために不可欠な書類です。ここでは、指示書に記載すべき主要な項目とその内容について詳しく解説します。

2.1 基本情報(患者情報、保険情報など)

訪問看護指示書には、患者さんの氏名、生年月日、住所、連絡先といった個人情報が正確に記載されている必要があります。また、医療保険や介護保険の被保険者証情報も重要です。これらの情報は、患者さんの特定と適切な保険請求のために不可欠であり、記載漏れや誤りがないか交付時に必ず確認しましょう。訪問看護指示書に記載される個人情報は、一般的な医療情報と同様に、個人情報保護法等に基づき適切な管理が求められます。

2.2 病名と病状

主病名や合併症、現在の具体的な病状、そして日常生活動作(ADL)レベルなど、ケアに必要な医学的な情報が記載されます。医師による正確な診断名の記載は、訪問看護師が患者さんの状態を理解し、適切なケア計画を立てる上で非常に重要です。病状の変化に応じて、指示書の内容も適宜更新される必要があります。

2.3 訪問看護の内容(処置、管理、指導など)

この項目には、訪問看護師が具体的に実施する医療処置、日常生活援助、服薬管理、家族への指導などが詳細に記載されます。例えば、褥瘡処置(部位:仙骨部、処置内容:軟膏塗布、ガーゼ交換)や経管栄養管理(方法:胃ろう、栄養剤の種類、注入量、回数)など、具体的な処置内容を記載することが重要です。これにより、訪問看護師は迷いなくケアを提供でき、多職種との連携もスムーズになります。

2.4 訪問頻度と時間

週あたりの訪問回数や、1回あたりの訪問時間(例:週3回、1回あたり60分未満)など、具体的な訪問計画が記載されます。患者さんの病状や生活状況、ご家族の介護力などを総合的に考慮し、医師が判断します。患者さんの状態によっては、柔軟な訪問頻度や時間の調整が必要となる場合もあります。

2.5 指示期間

訪問看護指示書には、有効期間が明記されます。通常は交付日から最大6ヶ月間ですが、病状に応じて「特別訪問看護指示書」が交付される場合は最長14日間となります。この期間内に、訪問看護が継続的に必要かどうかを医師が再評価し、必要であれば更新手続きが行われます。指示期間の終了日を常に意識し、計画的なケア提供と更新依頼が重要です。

3. 訪問看護指示書の交付フロー

訪問看護指示書は、医師からの指示があって初めて訪問看護サービスが提供できる重要な書類です。ここでは、指示書をスムーズに交付してもらうための具体的なフローを解説します。

医師への依頼

訪問看護指示書を医師に依頼する際は、患者さんの現在の状態や必要なケアについて、具体的に情報提供を行うことが重要です。口頭だけでなく、書面で情報を提供することで、医師はより的確な指示を出しやすくなります。例えば、アセスメント情報やケアプラン、これまでの経過などをまとめたサマリーを添付すると良いでしょう。医師との円滑なコミュニケーションは、患者さんへの質の高いケア提供に直結します。日頃から良好な連携を心がけましょう。

必要書類の準備

医師が訪問看護指示書を作成するために、訪問看護ステーション側で準備すべき書類がいくつかあります。具体的には、患者さんの現在の病状報告、アセスメントシート、ケアプランなどが挙げられます。これらの書類は、患者さんの状況を正確に医師に伝えるための重要な情報源となります。情報に漏れがないよう、事前にチェックリストを作成し、確認しながら準備を進めることをお勧めします。

交付後の確認と管理

医師から訪問看護指示書が交付されたら、まずは記載内容に不備がないか、すぐに確認しましょう。特に、指示期間、訪問頻度、サービス内容、特記事項などは、患者さんへのケアに直接影響するため、細心の注意を払ってチェックしてください。万が一、不備や疑問点が見つかった場合は、速やかに医師に確認し、修正を依頼することが大切です。交付された指示書は、事業所内で適切に共有し、決められたルールに従って安全に保管・管理しましょう。近年では、電子カルテシステムと連携した指示書の電子化も進んでいます。

4. 訪問看護指示書の有効期間と更新

訪問看護指示書には有効期間が定められており、期間が過ぎると訪問看護サービスを提供できなくなります。ここでは、指示書の有効期間と更新手続きについて解説します。

有効期間の確認

訪問看護指示書の有効期間は、指示書の種類によって異なります。通常の訪問看護指示書の有効期間は、原則として発行日から6ヶ月です。しかし、患者さんの状態やケアの必要性に応じて、医師が個別に期間を定めることもあります。

また、急性増悪時などに発行される「特別訪問看護指示書」の有効期間は、発行日から最大14日間と短く設定されています。精神科訪問看護指示書も通常の指示書と同様に原則6ヶ月ですが、患者さんの病状によっては期間が異なる場合があります。サービス中断を防ぐためにも、指示書に明記された期間を常に確認し、管理することが重要です。

更新手続き

訪問看護指示書の有効期間が満了する前に、継続して訪問看護が必要な場合は更新手続きが必要です。更新のタイミングは、有効期間が切れる1〜2週間前を目安に、余裕を持って医師に再依頼することが一般的です。

更新手続きでは、現在の患者さんの状態やケアの状況を医師に伝え、新しい指示書の発行を依頼します。通常、前回と同じ様式の指示書が使用されますが、病状の変化によっては内容が変更されることもあります。スムーズな更新のためには、日頃から患者さんの情報を整理し、医師と密に連携を取ることが不可欠です。事前の準備と情報共有を徹底することで、サービスの中断なく適切なケアを継続できます。

5. 訪問看護指示書が交付されない場合

訪問看護指示書は、訪問看護のサービス提供において必須となる重要な書類です。しかし、状況によっては指示書がなかなか交付されないケースも発生します。ここでは、指示書が交付されない場合に考えられる原因と、その対処法について解説します。

5.1 考えられる原因

訪問看護指示書が交付されない場合、いくつかの原因が考えられます。主なものとしては、以下のような点が挙げられます。

  • 医師の多忙: 日常診療で多忙な医師にとって、訪問看護指示書の作成は追加業務となり、後回しにされてしまうことがあります。
  • 情報不足: 医師が患者さんの状態や訪問看護の必要性を十分に把握していないと、指示書の作成が進みにくくなります。
  • 連携不足: 医師と訪問看護ステーション、ケアマネジャーとの間で情報共有や連携が不足していると、指示書の依頼がスムーズに行われないことがあります。
  • 指示内容の認識相違: 訪問看護側と医師の間で、指示書に記載すべき内容や訪問の頻度、期間などについて認識の相違がある場合も、交付が遅れる原因となります。

5.2 対処法

指示書が交付されない場合の対処法としては、以下の点が有効です。

  • 丁寧な情報提供と依頼: 医師に対し、患者さんの現在の状態、訪問看護の具体的な必要性、期待される効果などを明確に伝え、指示書作成の依頼を丁寧に行いましょう。必要に応じて、患者さんの状態をまとめた資料や、訪問看護計画書の案などを事前に提供することも有効です。
  • ケアマネジャーとの連携強化: ケアマネジャーは、医療機関と訪問看護ステーションの橋渡し役となる重要な存在です。ケアマネジャーと密に連携し、医師への働きかけや情報共有を促すことで、指示書交付がスムーズに進むことがあります。
  • 関係機関への相談: どうしても解決しない場合は、地域の医療連携室や包括支援センター、または各都道府県の訪問看護ステーション協会など、関係機関に相談することも一つの方法です。
  • 事業所内での対応策検討: 定期的に指示書交付が遅れる医師がいる場合は、事業所内で対応マニュアルを作成したり、特定の担当者を決めたりするなど、組織的な対応策を検討することも重要です。
  • 患者・家族への説明: 指示書交付が遅れることでサービス開始が遅れる場合は、その状況と理由を患者さんやご家族に丁寧に説明し、理解を得るように努めましょう。

6. 精神科訪問看護指示書の注意点

精神科領域における訪問看護は、身体的なケアとは異なる専門性と配慮が求められます。そのため、訪問看護指示書にも精神科特有の記載事項や、関係機関との密な連携が重要となります。ここでは、精神科訪問看護指示書を作成・運用する上での注意点について解説します。

6.1 特有の記載事項

精神科訪問看護指示書には、通常の指示書に加えて、精神疾患の特性に応じた詳細な情報が必要です。これらは、適切なケアを提供し、利用者さんの状態変化に早期に対応するために不可欠な項目です。具体的には、以下のような記載が求められます。

  • 精神症状の詳細: 幻覚、妄想、興奮、抑うつ、不安、希死念慮などの有無や程度、具体的な行動への影響。
  • 服薬状況: 服用している精神科薬の種類、量、服薬コンプライアンス、副作用の有無と対応。
  • 生活状況: 食事、睡眠、入浴などの日常生活動作(ADL)の状態、日中の過ごし方、社会参加の状況。
  • 家族関係・社会資源の利用状況: 家族との関係性、サポート体制、利用している福祉サービスや地域の社会資源。
  • 危険行為の有無: 自傷行為や他害行為のリスク、その際の対応方法。

これらの情報は、利用者さんの精神状態を多角的に把握し、個別性に合わせたケアプランを立てる上で非常に重要です。

6.2 連携の重要性

精神科訪問看護においては、利用者さんを取り巻く多職種・多機関との連携が成功の鍵を握ります。利用者さんが地域で安定した生活を送るためには、一貫した支援体制が不可欠だからです。

  • 主治医: 精神状態の変化や薬の効果、副作用について密に情報共有し、ケアの方針を決定します。
  • 精神保健福祉士(PSW): 福祉サービスや社会資源の利用調整、経済的な問題など、生活全般の相談支援を行います。
  • 作業療法士(OT): 生活機能の維持・向上に向けたリハビリテーションや、日中の活動支援を行います。
  • 家族: 利用者さんの家庭での様子や変化を共有し、家族への支援や情報提供を行います。
  • 地域包括支援センター: 高齢者の精神疾患の場合、地域の他サービスとの調整や相談支援を行います。

情報共有の具体的な方法としては、定期的なカンファレンスや連絡帳、電話、FAXなどがあります。これらの連携を通じて、利用者さんの状況を包括的に把握し、適切なタイミングで必要な支援を提供します。これにより、より質の高い精神科訪問看護が実現できます。

7. 最新の制度改正情報

最新の制度改正情報

訪問看護指示書は、医療保険制度や介護保険制度の改定に伴い、定期的に見直しが行われます。これらの制度改正は、訪問看護サービスの提供内容や請求方法に直接影響を与えるため、常に最新情報を把握しておくことが重要です。

直近では、2024年度の診療報酬・介護報酬同時改定において、訪問看護に関する様々な変更が実施されました。主なポイントとしては、質の高いケアを推進するための評価の見直し、医療と介護の連携強化、そして地域包括ケアシステムの推進に向けた取り組みが挙げられます。

例えば、特定の疾患や状態にある利用者への訪問看護について、より手厚い評価がされるようになったり、ICTを活用した情報共有の促進が図られたりしています。また、医療的ケア児への支援強化や、看取りへの対応に対する評価の充実なども盛り込まれており、訪問看護ステーションの運営や個々の看護師の業務に影響を与える内容となっています。

これらの改定内容を正確に理解し、日々の業務に適切に反映させることで、利用者への質の高いケア提供と、適正な報酬請求が可能となります。厚生労働省や関連団体のWebサイトなどで、常に最新の情報を確認し、必要に応じて研修会への参加なども検討しましょう。

8. 訪問看護指示書に関するQ&A

訪問看護指示書について、実際に現場でよく聞かれる質問とその回答をまとめました。これらのQ&Aを通じて、日々の業務や患者さんへの説明に役立ててください。

よくある質問とその回答

Q1:訪問看護指示書はいつまでに必要ですか?

A1:訪問看護サービスを開始する前に、必ず医師からの訪問看護指示書が必要です。指示書がない状態での訪問は、介護保険・医療保険の対象外となり、報酬請求ができません。緊急の場合でも、事後に速やかに指示書を交付してもらう必要があります。

Q2:訪問看護指示書なしで自己判断による訪問はできますか?

A2:原則として、訪問看護指示書なしに保険請求を伴う訪問看護を行うことはできません。
指示書は、医師が患者さんの状態を評価し、必要な医療処置やケア内容を指示する法的文書です。
指示書がないまま医療的ケアを行った場合、法令上の問題が生じる可能性があるほか、保険請求ができないなどのリスクがあります。

Q3:訪問看護指示書にかかる費用は誰が負担しますか?

A3:訪問看護指示書の交付にかかる費用は、医療費の一部として患者さん本人(またはその家族)が負担します。通常、健康保険が適用され、自己負担割合に応じた金額となります。訪問看護ステーションが費用を負担することはありません。

Q4:複数の医師から訪問看護指示書をもらうことは可能ですか?

A4:基本的に、一人の患者さんに対して複数の医師から同時に訪問看護指示書が交付されることはありません。患者さんの主治医が一人である場合がほとんどであり、その主治医が包括的に訪問看護の必要性を判断し、指示書を発行します。ただし、専門医からの意見書を参考に主治医が指示書を作成することはあります。

Q5:精神科訪問看護指示書と通常の訪問看護指示書の違いは何ですか?

A5:精神科訪問看護指示書は、精神疾患を抱える患者さんへの訪問看護に特化した指示書です。通常の指示書とは異なり、精神科医が発行します。また、訪問回数や期間に特別な規定があること(例:週3回まで、一定期間の延長が可能など)、精神症状の観察項目、服薬管理、社会生活技能訓練の必要性などが具体的に記載される点が特徴です。

9. まとめ

本記事では、訪問看護指示書の基礎知識、種類、記載事項、交付フロー、有効期間と更新、交付されない場合の対処法、精神科訪問看護の注意点まで、多岐にわたる側面を詳しく解説しました。訪問看護指示書は、利用者が適切な訪問看護サービスを受けるために不可欠な書類であり、その正しい理解と運用が質の高いケア提供に直結します。

この記事を通じて得られた知識が、日々の業務における疑問の解消や、よりスムーズな連携、そして何よりも利用者様への安心・安全なケア提供の一助となれば幸いです。訪問看護指示書に関する理解を深め、自信を持って業務に臨んでいきましょう。

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